2011-05-24

Wとオーズと謎の男(3)

1.
そして、振り向いたオレの視線の先に居たのは…。

あの、チャラ男だ。
昨日の爆破現場に居た。
なぜここに?

チャラ男は、警備員の質問に答えずに、フェンスの向こうにある重機を眺めながら
「これを、全部ツブしたら…気持ちいいよなぁ。」
「何?」オレは、聞いた。「昨日のビル爆破現場にお前、居たよな。」
「居たよ。」チャラ男は、オレの方を見ながらニヤリと笑った。


「ところでさぁ。現場監督…居るぅ?」
「今日は日曜だ、監督はおろか、作業員も居ないよ。」と警備員が言った。
「ふーん。じゃあ、ここ。ツブしちゃっても…いいんだァ」
「潰す?ふざけるな!何を…」警備員が詰め寄る。
「脅迫状…送っといたハズだけどぉ」
「脅迫状?」オレは聞き返した。
「そうだよ。3日前に…知らないの?おっさん。」
その時、警備員の顔色が変わった「あ。あの手紙!」
「知ってるのか?」警備員の肩に手をかけながらオレは聞いた。
「あ…ああ。たっ、ただ、『いたずらだろう』で監督とか済ませちまったみたいだが…。」
「ヒデェなぁ。こっちは、本気だったんだぜぇ」
「脅迫状なら、金か?幾らだ?」
「3億。だけど、金なんか最初っからどうでもいいんだァ」
「何?」
「なんか、ここツブしたくってさぁ。3日も我慢するの大変だったんだゼェ」
「もういいや。やっちまうから。」そう言いながら、チャラ男はポケットに突っ込んだ手を出した、その手には…ガイアメモリ。
オレは、咄嗟に警備員に言った。「おい、おっさん。すぐに警察に連絡だ。その後、残ってる作業員がいたらすぐに避難させろ。」
「あ、あんたは?」
「コイツは、オレが止めてみせる。」
警備員は自転車に跨ると、詰所が有る方向に向かって走りだした。

\Gravity/
チャラ男はメモリを自分のこめかみに押し当てた …そして、変身した。

オレは、ドーパント目がけて走りだした。
すると、ドーパントは右手をオレに向けて差し出した。その瞬間、オレは身体が重くなるのを感じた。
まるで、手足におもりが付いているように…。
「くそっ!」
「はははぁ。鈍すぎるよ。しばらく、寝てなぁ」そう言うと、ドーパントは差し出した右手を振り下ろした。
とたんに、オレの身体は地面に張り付いて動けなくなった。

ドーパントは、フェンスの方に向き直ると、左手を差し出した、すると、フェンスがバリバリと音を立てて、現場の内側へと倒れこんで行くと、倒れたフェンスを乗り越えてドーパントは中へと入っていった。

暫らく倒れていたオレだったが、身体の自由が効くようになると、ドーパントの後を追って中へと入っていった。そうしている間にも、場内の林立した杭打ち機が次々となぎ倒され、地面へとめり込んで行っていた。

「やっぱり、ただじゃあおけない…か。」オレはそう言うと、ロストドライバーを取り出し…変身した。
Joker

2.
オレは一足飛びにドーパントの元に寄ると、ヤツが振り返るより早く、その脇腹に一発見舞った。
「グゥ」とヤツは言うと、身体を折りながら左手をオレの方に向けた。
オレは、ヤツのパンチを警戒して右手でブロックした…が、ヤツの左手がオレに届く前に、オレの身体は後へと吹き飛んだ。
「なにっ!?」オレは、そこにあったブルドーザーにしこたま背中を撃ちつけると、そのまま、地面に落ちた。
「クソッ!ヤツの能力は…Gravity。重力を操るのか
「やるとすれば、一撃だ。」オレは、立ち上がりながら言った。
ヤツは、そんなオレに気が付いて、こう言った。
「もう、ヤメときなよ。あんたに勝ち目…無いよ。」
「うるせぇ。おれは、こう見えても…あきらめの悪い方でな。お前の目的が何であれ、これ以上は、何も…させねぇ。」
そうして、オレはこう言った。「さあ。おまえの罪を…数えろ!」

「はあ? 知るかよぉ!」ヤツは、右手を上に差し上げると、そのまま、振り下ろした。
オレは、頭上に妙な圧力を感じると、思いきり、真横に飛び退いた。
次の瞬間、どんっ!と言う音と共にオレの居た場所にまるで、真上から鉄球でも落とされたかのような丸い窪みが出来ていた。「な…。」逃げて無ければそれこそぺちゃんこだ。
ヤツは、また上げていた右手を振りおろした、今度は、オレは斜め前に逃げた。
ヤツとの間合いを詰めなければ、攻撃できない。
すると、ヤツは左手をオレの方へ突き出した。「マズい。」
おれは、何とか留まろうとしたが、身体は宙を舞い、後ろへと飛ばされた。地面に投げ出されたオレは、空から”何か”が落ちてくるのを感じ急いで起き上がると、一番近い重機のカゲに隠れた。と同時に、どんっ!と言う音が聞こえた。

「そんな所に隠れたってぇ、無ぅ駄ぁだよぉ」
オレは、ドライバーからメモリを外すとマキシマムスロットへメモリを差し込んだ。
Joker Maximum Drive

重機がジリッと動き出すのを見ると、身構えて待った。
そして、おもむろに真上にはじけ飛んだ重機にオレは手をかけ、一緒に飛んだ。
「あ?」オレの姿が見えなくあっけに取られているヤツの頭上から重機を蹴って飛びかかった。
「ライダー・キック」
ドオォォォンと言う音と共に、キックがヤツにhitした。

はずだった。
「あぶねぇ、あぶねぇ。気がつくのが遅かったら…やられてたなぁ」
オレのキックは、ヤツの右手に遮られていた。「クッ」オレはそのまま、地面に倒れこむと身動きでき無くなった。
ヤツの右手がオレの上に被っているせいだ。
「さあ。終わりにしようゼ」そう言いつつ、右手に力が込められているのが分かる。オレの身体が徐々に地面にめり込んでいくのが分かる。


Engine Maximum Drive
一瞬のエンジンの唸りが聞こえると、ヤツは、振り向いた。
そして、赤い影が踊った。

3.
「お、お前…誰だ?」変身の解けたヤツは、そう聞いた。
照井は、ヤツの身体から排出されたメモリを踏みながらこう言った。
「俺に、質問するな」
そして、パキンと言う乾いた音と共にメモリは砕け散った。


「大丈夫か、左」
「おかげさまで。しかし、遅すぎないか?」
「バカを言え。これでも飛ばしてきたんだぞ。ほら。」照井がアゴで示した方にはやっとパトカーが数台到着したところだった。
「お前のエンジン音が聞こえたんでな、時間稼ぎが大変だったぞ。」
「お前だけじゃ無理だったか。」
「まあな、チョット厄介なヤツだった。ま、ここにいてもなんだから、オレ帰るわ。」
「あとで、また聞くことが有るかも知れん。」
「協力は惜しまないよ。」

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