2011-01-18

オーズとバースと失われたコア

1.

「セイ…ヤー!」 映司の掛け声一閃、タカキリバのカマキリソードがムカデヤミーの身体を切り裂いた。
爆音と共にヤミーが砕け散り、辺り一面にセルメダルが飛び散った。

『クレーン・アーム』の声の後、オーズの背後からバースのクレーン・アームの先端が飛んで来ると、飛び散ったセルメダルを全て持って行った。


「あ、あああ。」映司は声にならない声を上げた。

変身を解いた映司は、同じく変身を解いた伊達にこう言った。
「伊達さん。やっぱり、メダル分けてもらえませんか?」
「ダメ!」速攻だ。
「いや、でも、メダル無いとアンクも困るし…なあ?」
「フン。さあな。」とアンク。
「言っただろ、メダルは全部、俺が貰うって。」と伊達が言った。
まあ、確かに最初からそう言ってはいたけれど。と思いながら映司は、食い下がった。
「そこを、何とか」
「ダメ。絶対!」とダメ押し
そう言うと、伊達はメダルの入ったタンクを背負うと、後ろも見ずにすたすた行ってしまった。

「アンク。どうする?」
「あぁ?俺がボーッとただ見れるだけかと思ったのか?」と言うと、上着のポケットからセルメダルをジャラジャラ出してきた。
「ああっ。いつの間に。」
「それに、あいつはああ言っているが、鴻上との約束も有るからな」
「え?約束?」


2.

「そのとおり!」
相変わらず、妙にテンション高いな、と映司は鴻上会長を前にして思った。
「アンク君との約束!しっかり覚えているよ。そちらの取り分は4割」
「そうだ、だからバースが持って行った分の内、こっちの取り分を渡してもらおうか」と、アンクは行った。が、会長の口からは意外な言葉が出た。
「しかぁし。昨年末の5000枚のセルメダルの消失。これを一刻も早く補填しなければならない。」
「で?だから何だ?」とアンク。
「従って、しばらくの間、こちらのメダル獲得を優先させてもらう」
「!ふざけるな!」
喰って掛かりかけたアンクを押し止めるように、映司が割って入った。
「ま、まあまあ。えーっと、とにかく、こっちとしても、無いと困るものなんで、よろしくお願いします。」
「ふむ。確かに無ければ困るだろうね。では、里中くん。」そう言うと同時に、ソファに座っていた里中が立ち上がると、手に持った、小さなアタッシェケースを持ってきた。
「これをどうぞ。セルメダル、50枚です。」
「50枚…だと?」アンクが鼻先にシワを寄せながら、メダルを見つめた。
「アンク、どうする?まあ、貰えるものは貰っておく?」
「…勝手にしろ!」そう言い放つと、アンクは出ていってしまった。
「あ。えっと、どうもありがとうございました。」映司はそう言うと、アタッシェケースの蓋を閉め、持ち帰った。

3.

「クソッ!」ウヴァは、足元に有ったパイプ椅子を蹴り飛ばした。
「オーズめ!それに、何だ?あの妙なヤツは。メダル集めがやりにくすぎる」
と、その時、「その妙なヤツは、バースって言うんだ」と、声がした。
「?カザリか?どこに居る。」
「ま、色々有るからね。姿は見せないことにするよ。」
「ふん。で、何の用だ?」
「ちょっと、忠告しておこうかと思って。ここ、2,3日僕の周りで僕達と同じ匂いのするヤツが色々嗅ぎまわっているみたいなんだ。変なちょっかい出されても困るからね。」
「お前にしちゃあ、随分と殊勝だな。」
「別にぃ。君のコアメダル…僕以外に取られるのは癪だから。それだけ。」
「なにぃ?」
しかし、もうカザリの気配は消えていた。

4.

カザリは、人間態になって街の中を歩いていた。次のヤミーの親を探すためだ。が、その、カザリの背後、10m程後ろを付けてきているのを感じていた。「自分と同じ匂いのヤツ」

カザリはしばらく、ブラブラと歩くと、とある路地のところまで来ると、サッとその路地へと入っていった。

後ろから付けてきていた男は、小走りにその路地へ来るとそのまま入っていった、が、そこには誰も居なかった。

「何の用?」カザリの声が響いた。男はキョロキョロと見回すが、その内、上を見上げた。
居た。カザリは、人間態を解いてビルの壁から僅か10cm程突き出た窓枠に器用に踵だけで腕組みをして立っていた。
「君、ここの所、僕の事付けてきてるでしょ?何の用?」
「…」男は、カザリの問に答えるように、右手を上にさし上げた。と、思うと、腕から何かが伸びてきた。
「!」カザリは、飛び上がると、ビル壁の間を蹴り上がり、ビルの屋上へと出た。
「何だ?あれ」ビルの縁から離れながらカザリは今見たものが何だったのか考えた。
すると、今、自分の上がってきた所に「何か」が伸びてくると、近くに有った給水塔の梯子に絡みついた。カザリは、その姿を見て一瞬たじろいだ「蛇だ」。
そして、男が、ビルの下から上がってきた、両腕を蛇にして。その蛇は、口を大きく開けるとその中から、人の手が出てきた。そして。
「やっと…見つけましたよ。カザリさん…ですね。」男は言った。細いが低い声だ。
「へえ、僕を探していたって?生憎、蛇の友達は居ないんだけどなぁ。」
「それに、そう言う声のヤツは好きじゃない。」
「ククク。あなたのコアメダル。いただきますよ。」
「やれるかなぁ。無理だと思うよ。」と言うと、カザリは男に向かって竜巻を出した。「ふふ。残〜念」確実にHitした。そう確信したカザリだった…が、「なにっ!」
立っていた、男は、事も無げにその場に立っていた。
「じゃあ。今度は、こっちから」男はそう言うと、前につき出した右腕から、さっき見た蛇がカザリに向かって伸びてきた。
「チッ」カザリは右横へ飛び退くと、避雷針に掴まった。ヤツの左側は蛇の死角になっているからだ、が、男は…左腕からも蛇を出してきた。
「何っ!」一瞬遅れた反応。左腕からの蛇に気を取られすぎ、右腕の蛇が来ている事に気がつかなかった。蛇は、カザリの右足に絡みつくと、そのまま、すごい力で引っ張り始めた。抵抗する間もなく、もう一匹の蛇が、身体に巻き付いてきた。「し、しまった!」
避雷針を掴んでいた手も引き剥がされ、カザリは、高々と持ち上げられてしまっていた。
カザリは、右腕の爪を身体に巻き付いている蛇に向かって突き立てた。
「ガァッ!」お男が声を上げた。が、男はそのまま、カザリをビルの屋上に叩きつけた。
「グウゥッ!」今度はカザリが声を上げた。

もうダメだ、そうカザリが思った瞬間。青白い稲妻が辺り一面を覆った。ウヴァだ。
稲妻は、男と、男の腕から伸びた蛇に集中的に当たり始めた。
男は、カザリから蛇を解くと、そのまま、ビルの上から飛び降りた。
カザリは空中で放り出される格好で、ビルの屋上に投げ出された。
「おい、大丈夫か?」ウヴァだ。
「はは。まあ、何とかね。」
「まだ、この辺りに居るのかと探していたんだ。」
「取り敢えず、礼は言うよ。」
「ふん。貴様と同じ、俺以外のヤツにお前のコアを取られたくないんでな。」

<続く>   かな?









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2 件のコメント:

Miyamura Shigefumi さんのコメント...

結構、ポイントまとめられましたねw
バースの扱いが今、気になります。 ちゅか、さっき息子と2回目の仮面ライダーの映画見てきました。上映後期&午前中一番でさすがに2人の貸切でしたw

yutangc さんのコメント...

どもです。
実は、これは、「自分だったらこんな映画で見てみたいぞ」って言う動機で書いてます。
気力があれば、続きを書きます。
(ってか、前のWがらみのもほっぽってあるんですが^^;)

さすがに平日は貸切でしょう。自分も昔、平日に行ったら、自分含めて2,3人って事ありましたから。2回目かぁ。良いなぁ、自宅近くに映画館が無いから、ホイホイ行けないんです orz

じゃっ!(伊達さん風)

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